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安全機器
2026.04.30

セーフティスイッチの信頼性を表す「MTTFd」とは?

工場の機械では、人の安全を守るためにセーフティスイッチが使われています。
たとえば、扉を開けたときに機械が自動で止まる仕組みです。

では、そのセーフティスイッチが「どれくらい安全なのか」は、どうやって判断するのでしょうか?

そこで使われるのが「MTTFd」という指標です。

MTTFdを一言でいうと?

MTTFd とは、「安全機能を担う部品や機器等に危険な故障が起こるまでの
平均時間 (Mean Time To Dangerous Failure)」を表す数値です。

ここでいう「危険な故障」とは、安全機能が働かなくなる故障です。
たとえばセーフティスイッチであれば、

  • 正常:扉を開けると機械が止まる
  • 危険な故障:扉を開けても機械が止まらない

という違いになります。

「平均時間」とはどういう意味?

ここが少し分かりにくいポイントです。

MTTFd の「平均」とは、「同じ部品をたくさん使ったとき、
どれくらいの時間で危険な故障が起こるかを、全体として平均したもの」という意味です。

イメージしてみてください。同じセーフティスイッチを100個用意して、それぞれ使い続けたとします。

  • 5年で壊れるもの
  • 10年で壊れるもの
  • 20年持つもの

など、ばらつきが出ます。

このとき、それらを全部まとめて平均すると「だいたい何年くらいか」が分かります。
それが MTTFd です。

つまり、

「この製品は必ず年で壊れる」という意味ではなく、
「たくさん使ったときの傾向として、これくらいの時間で危険な故障が起こる」という考え方です。

これが「統計的な値」と呼ばれる理由です。

数値が大きいほど安全?

MTTFd は年 (years) で表され、数値が大きいほど壊れにくいことを意味します。

  • MTTFd = 10比較的壊れやすい
  • MTTFd = 100とても壊れにくい

ただし、ここで注意が必要です。

数値が大きくても「絶対に壊れない」わけではありません。
あくまで平均の話なので、早く壊れる場合もあります。
このため、安全設計では「1つの部品だけに頼らない」ことが重要になります。

MTTFdのレベル分け

実務では、MTTFd は次の3つのレベルに分けて扱われます。

  • Low (低い):3年以上 10年未満
  • Medium (中程度):10年以上 30年未満
  • High (高い):30年以上 100年未満

※100年を超える場合は、通常は100年として扱われます。

この分類によって、「どの程度信頼できる部品か」を大まかに判断します。

PL (Performance Level) との関係

MTTFd はそれ単体で使われるだけでなく、
PL (Performance Level)」という安全レベルの評価にも使われます。

PLは、ae 5段階で表され、

  • PL a:低い
  • PL e:非常に高い

となります。

PLごとに求められるMTTFdの目安

PL MTTFd だけで決まるわけではありませんが、重要な要素のひとつです。

大まかには、次のような関係があります。

  • PL abLowでも成立可能
  • PL cMediumが目安
  • PL dHighが必要になることが多い
  • PL eHighが前提 (かつ他の条件も厳しい)

つまり、「高い安全レベル (PL de) を目指すには、
MTTFd が高い部品を使うことが前提になる」ということです。

なぜMTTFdだけでは足りないのか?

ここで大事なポイントです。

MTTFd は「部品の壊れにくさ」を表しますが、それだけで安全が決まるわけではありません。

たとえば、

  • 壊れてもすぐ検出できるか
  • 同じ機能を2重にしているか (冗長性)

といった設計も重要です。

極端な例を考えると、

  • とても壊れにくい部品でも
  • 壊れたときに気づけなければ危険

です。

そのためPLは、「部品の信頼性 (MTTFd) +設計の工夫」を組み合わせて決まります。

まとめ

MTTFd のポイントは以下の通りです:

  • 危険な故障が起こるまでの平均時間
  • 多くのサンプルをもとにした「統計的な値」
  • 数値が大きいほど壊れにくい
  • Low / Medium / Highに分類される
  • PL (安全レベル) を決める重要な要素のひとつ

最後に

安全機器の世界では、「たぶん大丈夫」ではなく、「数値で安全性を考える」ことが重要です。

MTTFd はその基本となる「壊れにくさの指標」です。
さらに PL と組み合わせることで、設備全体の安全性を評価できるのです。


―参考文献―

ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会
『協働ロボットの安全解説書~ロボットを使用した協働作業の実現に向けて~』(2023年3月)
https://www.jmfrri.gr.jp/wp-content/uploads/2024/12/wg2_anzen.pdf

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