私たちが安全に働くために大切な考え方のひとつに「ハインリッヒの法則」というものがあります。これは、アメリカの損害保険会社で働いていたハインリッヒという人が発表した法則で、「1つの大きな事故の裏には、29の軽い事故があり、そのさらに後ろには300のヒヤリとした経験がある」というものです。つまり、大きな事故は突然起きるのではなく、小さな危険の積み重ねの結果として起きる、ということです。
この法則が示しているのは、身の回りで起きる小さな危険を放置しないことの大切さです。たとえば、家で椅子に乗って高い棚から何か物を取ろうとしたとき、バランスを崩して「ヒヤッ」としたけれど、結局何も起こらなかった——そんな出来事をそのままにしておくと、いずれ本当にケガをするような事故につながるかもしれません。様々な分野において、このような「ヒヤッ」としたり「ハッ」としたりする出来事は、安全管理の観点から重要視されており、「ヒヤリハット」と呼ばれています。ヒヤリハットを放っておくことは、将来の大きな事故を見逃すことと同じなのです。
製造現場に潜むヒヤリハット
製造現場では、毎日の作業の中でヒヤリハットが起きることがあります。たとえば、機械に挟まれるところにうっかり手を伸ばしそうになったり、スイッチの操作を間違えそうになったりする場面です。こうした体験を一つひとつ振り返り、みんなで共有することは、安全な職場づくりの第一歩になります。早い段階でヒヤリハットに気づき、対策を取ることができれば、大きな事故を防ぐことができます。
ヒヤリハットが起きない現場を目指して
そして、ヒヤリハットを減らすためには、作業者の注意だけに頼るのではなく、「安全製品」や「機械安全」の仕組みをうまく活用することも大切です。たとえば、セーフティスイッチやセーフティライトカーテンなどは、機械が危険な状態で動かないようにするための大切な装置です。これらを正しく使うことで、ヒヤリハットの発生を未然に防ぎ、安心して作業できる環境を守ることができます。
「ヒヤリ」と感じた小さな危険を見逃さず、仕組みで安全を支えること。それが、ものづくり現場に求められる「安全文化」なのです。
―参考文献―
厚生労働省「職場のあんぜんサイト」
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo24_1.html
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo26_1.html
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/hiyari/07.html
中央労働災害防止協会『機械安全規格を活用して災害防止を進めるためのガイドブック』
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/kikai_kikaku_2.pdf


